―ほんの数回会った彼女が、人生の全てだった―
どうして彼女しかダメなんだろう。
どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。
そんな特別な人との出会いが、あなたにはありますか?
この小説は、二人の少女の出会いと別れ、そして再会を丁寧に描いた物語です。
この本をおすすめしたい
- 言葉にできない痛みを抱えている方
- 誰かとの関係に答えが出せないとき
- 自分の居場所がうまく見つけられないとき
あらすじ(ネタバレなし)
七歳のある日、
古びた団地の片隅で、彼女と出会った。
彼女と私は、なにもかもが違った。
着るものも食べるものも、住む世界も。
何もかもが違う二人ですが、
小さな秘密を共有するうちに、
二人の存在は、お互いにとって唯一の拠りどころになっていきます。
しかし、ある出来事をきっかけに、
突然その時間は終わりを迎えてしまう。
やがて高校生、大人へと成長した二人は、
別々の人生を歩みながらも、何度か再び巡り合うことになります。
離れたり、近づいたり、
時に傷つけ合いながら、それでも切れない関係。
いくつもの時代を通して、
二人の心の距離と、それぞれが選び取っていく「生き方」が描かれています。
心に残った言葉
- 「せっかく大人になったのに正しいほうを、幸せなほうを選べないなんて、選ばないなんて、わたしは、そんなのいやだ」
- 「あなたがこれから出会っていくたくさんの人たちのことを、断片的な要素だけで決めつけてしまわないでほしい」
- 「わたしたちは互いが互いのお守りだった。会えない時も、それぞれの生活に精いっぱいで思い出さえ見失う時も」
感想(読書メモ)
たった一人との出会いが、
その後の人生を変えることがある。
二人の出会いは、
まさにそんな特別なものでした。
それでも環境や立場のせいで、素直になれない。
何度も何度もすれ違う。
そのもどかしさが、読んでいて胸に刺さります。
でもだからこそ、人間らしい温度を感じました。
自分に光が当たらなくても、
大切な人には光のそばにいてほしい。
そう願いながら、本当は自分も一緒にいたい―。
この二重の気持ちがとても切なくて、やさしくて、
思わずページを閉じて深呼吸したくなる瞬間が何度もありました。
第三者が「こうすればよかったのに」なんて
簡単に言うことはできません。
正しさだけでは決められない感情や選択が、
人生にはこんなにも多いのだと、気づかせてくれる物語でした。
人生の中で一人でも、こんな人に出会えたら。
それだけで幸せなのかもしれません。
この本が教えてくれること
- 誰かを想うことは、相手の「光」を願うこと
- ある時期に出会った誰かが、一生を左右することがある
- 「正しさ」の影に、こぼれてしまう気持ちがある
まとめ
自分の居場所がうまく見つけられないとき、
誰かとの関係に答えが出せないとき。
この本は、はっきりと道を示してくれるわけではありません。
それでも、心のどこかで鳴り続けている自分の声に、
そっと耳を傾けてみようと思わせてくれる一冊です。


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