『流浪の月』凪良ゆうさん

本の紹介

世間の正しさと、本当のやさしさ。その狭間で揺れる物語。

家に帰れない事情を抱えた少女と、
彼女を家に招き入れた孤独な大学生。

居場所を見つけた幸せを噛みしめたその夏の終わり、
彼は「誘拐犯」、少女は「被害女児」となったー。


この本をおすすめしたい方

  • 一人でいるのが楽、でもやっぱり怖い
  • 生きづらさを感じている
  • 社会の「普通」に違和感を覚える


あらすじ(ネタバレなし)

家に帰れない事情を抱えた10歳の少女と、
彼女を家に招き入れた孤独な大学生。

居場所を見つけたその夏の終わり、
彼は「誘拐犯」、少女は「被害女児」となった。


二人が共にいることを、
世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。
わたしを心配するからこそ、
誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。

それでもわたしは、あなたのそばにいたい―。

再会すべきでなかった男女がもう一度出会ったとき、
運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。

愛ではない。
けれどそばにいたい。

新しい人間関係を描き、
「正しさ」とは何なのかを考えさせられる物語。


心に残った言葉

  • 「せっかくの善意をわたしは捨てていく。そんなものでは、わたしはかけらも救われない。」
  • 「ひとりのほうがずっと楽に生きられる。それでも、やっぱりひとりは怖い。神さまはどうしてわたしたちをこんなふうに作ったんだろう」
  • 「健常とは異なるこれらを神さまからのギフトだとか、素晴らしい個性だなどという意見を見ても、どうしてもそうは思えない。ぼくはただただ平凡がよかった」


感想(読書メモ)

更紗と文の関係は、
第三者がどれだけ言葉を尽くしても理解しきれないもの。

「普通」な生き方に違和感を抱えながらも、
自分の輪郭を見失わずにいる更紗の強さがとても印象的でした。

常識ってなんだろう。
普通ってなんだろう。
ひとりは楽。だけどやっぱり淋しい。

一緒にいたい人が、世間から許されない人だったとしたら。
私はどちらを選ぶのか。

力強い、再生の物語です。


この本が教えてくれること

  • 正しさと優しさは、必ずしも同じ場所にない
  • 人間関係の形は、当事者だけが決められる
  • 誰の意見も関係ない。自分の人生は自分のもの


まとめ

世間の興味にさらされてもなお、
自分たちの真実を守ろうとする、二人の強さを描いた物語。

「わたしたちはおかしいのだろうか。
その判定は、どうか、わたしたち以外の人がしてほしい。
わたしたちは、もうそこにはいないので」

この一文にすべてが詰まっています。

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