自分を幸せにできるのは、自分。
つまずいてしまったとき、
世界からそっと距離を置きたくなる瞬間があります。
この小説は、学校に行けなくなった少女・まいが、
「西の魔女」と呼ばれる祖母と過ごすひと夏を通して、
自分の心とゆっくり向き合う物語です。
強さも弱さもそのままでいい。
そう優しく教えてくれる一冊です。
この本をおすすめしたい方
- 心が疲れていて、静かな物語に触れたい方
- 家族との関係を見つめ直したい方
- 自分を責めやすい方、自己否定しがちな方
- 「生きる力」 を取り戻したい方
あらすじ(ネタバレなし)
まいは中学に進んでまもなく、
学校での人間関係につまずき、
心が折れてしまいます。
母の提案で、田舎に住むおばあちゃんの家でしばらく過ごすことに。
「西の魔女」と呼ばれているおばあちゃんは
賢く、強く、そして優しい人。
朝の光、手作りのジャム、庭のハーブ、寝る前のお茶……
丁寧な暮らしの中で、まいの心は少しずつほぐれていきます。
「魔女修行」として学ぶのは、
人を呪う術ではなく、
自分の心を整え、自分の弱さと仲良くなる方法。
自然の中でゆっくりと、
まいは「自分がどう生きたいのか」を静かに見つめ始めます。
心に残った言葉
- 「何が幸せかっていうことは、その人によって違いますから。まいも、何がまいを幸せにするのか、探していかなければなりませんね」
- 「いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力。自分で決めたことをやり遂げる力です」
- 「大事なことは、今更究明しても取り返しようもない事実ではなくて、いま、現在のまいの心が、疑惑とか憎悪とかいったもので支配されつつあるということなのです」
感想(読書メモ)
おばあちゃんとまいの時間は、
とても静かで、穏やかで、
私も自分のおばあちゃんを思い出しました。
おばあちゃんの言葉は
とてもシンプルなのに、力がある。
「自分で決めて、自分で責任をとる」
その当たり前のような教えが、
こんなにもまっすぐ響くとは思いませんでした。
自然の音を聞くこと、体を休めること、
自分のペースを取り戻すこと。
現代では見逃してしまう当たり前を、
一つひとつ丁寧に拾い上げてくれます。
まいが少しずつ、
自分の弱さを受け入れながら前に進んでいく姿を見ていると、
「強くなる」とは誰かに勝つことではなく、
自分の心に正直になることなのだと気づかされます。
「強くならなくていい」
「まずは整えること」
という祖母の考え方は、
現代を生きる私たちにとって、とても大切な視点だと思います。
生きることに疲れたとき、
大切なものを見失いそうなとき、
この物語はそっと手を引いて、
やわらかい場所へ連れていってくれるような気がします。
この本が教えてくれること
- 自分で選び、自分で決めることの大切さ
- 弱さは悪いものではなく、自分の大切な一部であること
- 丁寧な暮らしは、心をゆっくり整えてくれること
まとめ
静かで、あたたかい物語です。
疲れているとき、
何かに追われているとき、
「いまのままでいいんだよ」と言ってもらいたいとき、
そっと寄り添ってくれる一冊です。


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