届かない声に耳を澄ます
誰にも届かずに沈んでしまう声は、
ときに、自分でも気がつかないほど深い場所で痛み続けます。
この小説はそんな孤独に触れ、
「人は誰かの光になれる」という希望を優しく示してくれる一冊です。
この本をおすすめしたい方
- 家族や人間関係に少し疲れを感じている方
- 孤独を抱え、誰にも気づかれない痛みに苦しんでいる方
- 誰かの優しさに救われたいと思う瞬間がある方
あらすじ（ネタバレなし）
52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない周波数で鳴く、世界でたった一頭のクジラ。
何も届かない、何も届けられない。
この世で一番孤独だと言われている。
自分の人生を家族に搾取されてきた貴瑚は、
過去を断ち切るように海辺の町へ移り住む。
そこで出会ったのは、母親に虐待され、「ムシ」と呼ばれる少年。
言葉をほとんど発さない彼に、貴瑚は「52」という名前を付ける。
孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる―。
心に残った言葉
- 「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ。
だからあんたの、あんたなりの言葉で話しな。全部、受け止めてあげる。」 - 「ひとというのは最初こそ貰う側やけんど、いずれは与える側にならないかん。
いつまでも、貰ってばかりじゃいかんのよ。」 - 「どうか、その声が誰かに届きますように。
優しく受け止めてもらえますように。」
感想（読書メモ）
孤独の深さは、誰にも測れないけれど、
誰の中にも確かに存在しています。
だからこそ、誰かが気づいてくれるだけで、
そばに居てくれるだけで、
胸の奥にしまいこんでいた痛みがゆっくりとほどけていくことがあります。
自分の痛みを口にするのは怖いけれど、
言葉にしなければ救われないこともある。
待っているだけでなく、
自分から一歩踏み出す勇気を、私はこの本からもらいました。
聞こえないふりをされ、
静かに消えていくしかなかった声。
そんな声を、しっかり救い上げられる人間になりたい。そう思いました。
この本が教えてくれること
- どんなに小さく、かすかな声でも、消えてしまうことはない。
世界のどこかで、必ず受けとめてくれる人がいる。- 人は誰でも孤独を抱えて生きている。だからこそ、自分からそっと一歩踏み出す勇気が、未来を変えていく。
- 自分の存在が、気がつかないところで誰かの光になっていることがある。
まとめ
どうしようもなく寂しさを感じるとき。
この本はきっと、
あなたのそばにいてくれる一冊になると思います。
ぜひ読んでみてください。
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